「すまなかった。寝てたのよ。それにレッドアラートではなかったしね」
「レッドにならなかったのは、僕がいたからだろう」
ちょっと怒った顔で言ったマシアスの視線を外しながら、スプームは、
「寝かせようか」
と話題をネドに向けた。
スプームがパネルを触って別の楕円の機器を出して、ネドの額に置くと、機器はすぐにやわらかく光りだした。
ネドは深い眠りに落ちた。
翌朝、僕、ネドは目を覚ました。
目を開けると、見慣れない天井である。
起き上がりながら周りを見渡すと、広く明るい部屋である。
ネドの脳裏に、昨夜の出来事がよぎった。
そうだ
半身起き上がったネドに合わせて、ベッドの背側の板がネドを包むように膨らんでせり出し、ネドの上半身を柔らかく支えた。
ネドの目が、ソファで話しているドクターたちを捉えた。
まずい
ソファでしゃべっていた二人のドクターはそれに気が付き、僕のベッドに寄ってきた。
「おはよう、ネド」
「おはよう、スプーム、おはよう、マシアス」
「おはよう、ネド」
「やあ、二人とも。申し訳なかった」
「いやいや、良くなってよかったよ。ところで、彼には礼を言わなくていいからね」
医療パネルをみていたスプームの片眉がピクリとあがった。
スプームは振り向いて、ネドに、
「もう、大丈夫だね」
と告げた。
「さてと、いったい自分はどうしたのか聞きたいかい?」
とネドのベッドの左脇に立っていたマシアスは昨日の件に話を向けた。
「もちろん」
「ヤクだよ。ハボスのね」
「ヤク」
「そう、ヤク。ネド、気をつけなさい。他星人、特にハボス星人にはね」
「量が多ければ危なかったよ」
「ヤクか・・油断したな。・・かなり飲んでいたからね」
注意していれば、いや、あんなに飲んでいなければ相手の意識が読めるケネス星人である。こんなことにはならない。肩を落としたネドに、マシアスは続けた。