今回のミュール星への訪問も、一年も前にメッセージ通信を送っていた。
その通信の中には、ラムル総統自身が写った、ミュール星人へのあいさつの映像とともに、ケネス星のあたりさわりのない紹介映像が含まれていた。
その通信に対して、3ケ月ほど経って、ようやく返事の通信が宇宙に放たれた。
その通信の中には、我々ケネス星人がしたように、ミュール星の紹介と、星の代表者であるモルと言う人物の歓迎のあいさつメッセージ画像が含まれていた。
今回は、その返事の中にあった日程で、ミュール星に訪問に来たのである。
ケネスで掴んでいるミュール星の情報を、ネドは大急ぎで頭に詰め込んだ。
その情報によると、ミュール星人は地球人型生物のようである。
ただ、髪の毛は赤く長く垂れていて、眼は大きく、その眼は真ん中にとがって張り出した形の顔の骨格の両脇に、魚のように横についていた。
耳は大きく、顔の半分ほどの大きさである。
本当に宇宙は様々だなあと驚かされる。
いよいよミュール星のセンサー域に入る。
ギガは、ミュール星の科学技術からみれば、打倒な速さへ減速した。
そして、キャプテンキースの指示で、訪問に来た旨のメッセージ通信を、ミュール側に流した。
この通信内容は、任務に当たる予定であった商務省副長官ルコとキャプテン、キースがミュール語で、ミュール星にまもなく到着する旨と、事前の通信の通りこれは平和的な目的の訪問である事と、ミュール星との貿易を希望している旨を語った画像である。
商務省副長官ルコがコントロールルームに姿を見せた。
「キャプテン、いよいよミュールの宇宙域に入りましたね」
「あ、副長官。ええ。今、こちらが訪問に来た旨の通信を流したところです」
ふむと頷きながら、商務省副長官ルコは、キャプテンが気を使って空けたキャプテンの席には座らず、身振りで断って、脇の補助イスを出して腰を掛けた。
そして続いて、わがドクター、マシアスもコントロールルームに上がってきた。
ドクター、マシアスは、普段は船内の医務室で研究生活を送っている。必要な時だけ、コントロールルームへ上がってきているのだ。
ミュール星から返信があった。
訪問を歓迎するとの内容と、地上での会合日時、場所を知らせてきた。
指定された会合場所は、ミュールの中心都市からかなり離れた場所で、ケネスが掴んでいた情報と照らし合わせると、ミュールの宇宙軍の、地方にある施設の中であった。
ギガは、ミュール星の衛星を左側に視認しながら、ゆっくりとミュール星の周回軌道に入った。