この間にも、ネメスの中型船は、盛んにネドの小型船へ向けて、撃墜ビームを発射している。ギガのコントロールルームの正面スクリーンが、ちら、ちらとオレンジ色にまぶしく光っている。
ことは急ぐ。ネメスの辺境の中型船も、小型船に向けて前方から迫ってきている。こちらも撃墜ビームの射程範囲に入った途端にビームを発射してくるだろう。
ネメス宇宙軍の大型艦も、スクリーンの地図の中で、ぐんぐん距離を縮めてきている。
ここで、固まっていたキャプテン、キースが声を上げた。
「無人基地45の推力を上げてくれないか。全速力で小型船まで動かして、小型船を無人基地の透明シールド内にすぐに入れよう」
「了解です。無人基地45、速度を上げます。推力全開」
シリス副長の声が響いた。
「無人基地の透明シールド内に入れるまで、どのくらいかかる」
「5分です。あと5分です」
そこへ、
「キャプテン、キース。ケネスの倉庫の転送準備が整った。いつでも転送できる。ミッドの方も、準備が出来た」
サライ最高司令官の落ち着いた声が響いた。
なら、なら、今だ。
「サライ最高司令官。転送は早い方が良いと思いますので、一旦こちらのギガの透明シールドを拡大して、張ります」
「進路変更、ギガをテラの小型船の上方に移動させてくれ」
キースは、脇の士官に指示した。
「了解」
「透明シールド拡大。準備を」して
「了解」
そこへギガの通信機から、サライ最高司令官の声が響いた。
「キース大佐、転送準備が完了した」
「正面スクリーンに転送予定位置を光らせてくれ」
これは、本部内の士官に指示している声だ。
「SE諸君、ミッドもだ。協調してやってくれ。小型同士をぶつけないでくれ」
「了解」「了解」
「転送開始準備、秒読み20秒、19秒、18秒、・・」
ギガの士官の声だ。他部署と協調して行う為、20秒から開始している。安全の為である。
「転送準備」
サライの声だ。
「転送準備OK」
ケネス宇宙軍本部の士官の声だ。
「透明スクリーン、小型船に到達準備完了、直前保持」
ギガのコントロールルームにギガの士官の声が響く。
「12、11・・・2、1」
ギガのコントロールルームの士官の声が静寂の中に響いている。
「0、入りました」
ギガの士官の読み上げる声と同時に、ギガの正面スクリーンの中のネドの小型船が、一瞬、ぶれた気がした。