警備の士官が、もう一ヶ所でを犯人取り押さえたようだ。
会場内はどよめきに包まれている。
(言うまでもなく、この2ヶ所で、犯人は掲げた銃を発砲することができなかった陰には、ケネス星総統ラムルの秀でた超能力が関係している)
ネドがもう一方の騒ぎの方向に目をやった途端、
「無礼者!」
ネドは倒され転がされ、右腕をゼルダのお付きのものにねじりあげられた。
脇で、ゼルダの王は助け起こされて立ち上がった。
ネドに突き飛ばされた宇宙連邦軍のエスコート係の士官も立ち上がった。
ネドの腕に激痛が走った。ネドは身動きができず、ゼルダ星人に押さえつけられたまま固まっていた。
周りでは騒ぎの首謀者たちは、警備の士官たちによって連行され、会場外にひっぱり出されている様だ。
首謀者たちであろう、怒鳴り声が会場に響いた。
「王よ、死ね!」
「死ね!」
「これで終わりではないぞ!」
足音が遠ざかっていく。
会場内が静かになった。
ネドは押さえられたままである。
立ち上がっていた出席者たちも、ネドのまわりには誰も寄ることはできず、ただ遠目に、呆然と成り行きを見ている。
思考が停止したネドの耳に、ゆっくりと近づく人物の足音がした。そして、
「お待ちください」
穏やかな声が響いた。
おじいさんだ。
祖父はネドの脇に来ると、ゼルダ王に向かって、まずゼルダ式にあいさつをした。そして、
「私はケネス星総統のラムルです。またお会いできて光栄に存じます。申し上げるのは大変心苦しいのですが、この無礼を働きましたものは、私の孫でございます。ネドと申します。星を継ぐものとして、この宇宙連邦軍で修業をさせております。どうも、王様をお救いしようとしたようです。ご無礼は、重々お詫びいたします。どうか、お許しいただけないでしょうか」
ラムルの醸し出す穏やかな雰囲気があたりを包んだ。
ゼルダの王は、
「ふむ、孫とな」
「ほう」
と呟いて、視線を床に押さえつけられているネドに注いだ。
やがて、
「ま、よい。放してやれ。その方、立ち上がってよいぞ」
ゼルダ王のその声を合図に、僕(ネド)は右腕をほどかれ、背中に乗せられていた押さえの膝を外された。
僕はゆっくりと立ち上がった。
そして、王に向かって目線をやや下げたままにして、
「ご無礼をいたしました。どうか、お許しください」
と言って、ゆっくりと頭を下げたのだった。