挨拶が済むと、このテラのキャプテン、ファウルは、
「後はこのネド中尉が船内をご案内します。お楽しみください」
とネド(ネプス)に接待を引き継いで、その場を辞して勤務に戻っていった。
サライら4人は、キャプテン、ファウルの後姿を見送ると、まず、サライは、ケネス星から代表者を送ってきて、今、宇宙連邦軍宇宙艦テラの脇で停泊している、ケネス宇宙艦ミッドのキャプテン、シュメルに連絡をした。
「キャプテン、シュメル。ハボスに動きがあったら、順次、知らせてくれ」
「了解しました」
サライ最高司令官が連絡し終わるのを待って、ネドに扮したドクター、ネプスは、
「艦内を少し回って、接待しているところをみせたら、宿舎の彼の部屋へご案内します。実は、お話があります」
と3人に言って、先を歩き出した。
ネプスにとっては、ネドへのなりすましはすでに何度も経験済みである。
まず、展望デッキへ。そして、コントロールルームへ。そして、職員食堂をまわって、できるだけ姿を見せながら足早と悟られないようにしながら、3人はネドの宿舎へ入った。
ケネス宇宙軍はこの時、すでに戦闘態勢コードAになっていた。
話を少し前にもどすと、ネドの異変を最初に知ったのは、ケネス宇宙軍宇宙艦ギガのドクター、マシアスであった。言うまでもない。
ネドがこの得体のしれない念に悩まされてすぐの事であった。
それは会議の3日前である。
マシアスは、ネドの医療データを機械で確認していたが、この異変がなぜなのか、すぐにはわからなかった。
ネドの異変が断続的であり、止んでしまったことが事態を分からなくしていた。