ネドはベッドから出て、立ち上がった。
「もうちょっと休んでくれないかな、ネド」
マシアスはネドのそばで困惑した。
窓脇の簡易ベッドで寝ていたキャプテン、キースは、起き上がって二人を見ていたが、
「ネド少尉、ちょっといいかな、ここで僕と一緒に食事をしないか」
とネドに声をかけた。ネドのベッドに近づいてくる。
「キャプテン、キース。ギガの方はどうなったのですか?」
「ギガはこの第107宇宙基地に着艦している。ミュール星の件はもう、無事終わった。乗員はここで休憩に入っているよ」
「では、私も、ここの休憩室へ行きます」
「おいおい、たまなんだから、僕と食事をしてもらえないかな。ここでも同じメニューで食べられるよ」
「・・・・」
不満げな顔で、ネドはこの広いゲストルームのベッド脇の丸テーブルで、キャプテン、キースと食事をともにしたのだった。
ネドは何もかもが気に入らない。自分だけがここにいることも、そして、ミュールで自分だけが蚊帳の外にいて、任務を与えられずにいたことも。
とにかく、不愉快である。そして、ミュールでのケネス宇宙軍のやり方は、特にネドには納得がいかなかった。それもひどく。
その上、ミュール軍の勝利の雄叫びは、ネドの不快感を煽っていた。
ネドはキャプテン、キースを目の前にしながら、不機嫌なまま黙々と食べ続けていた。
キャプテン、キースはため息をつくと、
「ネド少尉。何が嫌なのか、僕に話してみないか。その方が解決がつくかもしれないよ」
と言ってネドを見つめた。
ネドもキャプテン、キースを見つめた。やがて、
「では、お話ししましょう。私は、ご存知の通り、すでに宇宙連邦軍で3年勤務し、指揮官となれるリーダー研修も終了しています」
「だったね」
「ですので、その立場で率直に言いますと、今回のこのケネスの、このケネス宇宙軍の対応の仕方は、宇宙連邦軍から言えば、あり得ないことです。はっきり言えば、腰抜けです」
「うーん・・・。なるほど。続けて」
「例えば、もし、宇宙連邦軍なら、絶対行動を起こしています。囲まれている周りの船に対して、レーザー砲で、相手の船の発射口を攻撃しますね。それも、3隻に対して連射で発射口を攻撃して、3隻とも瞬時に反撃できなくしますね。そして、地上のあの施設の周りもレーザービームで攻撃しますね。僕が指揮官なら、近くにあった鉄塔を破壊して、電力を奪います」