キャプテンの目の下にクマができている。
「さて、ネド中尉、君はネメス星のことはどのぐらい知っているかな?」
「えー・・、ヤデンと言う反政府勢力の首謀者がいて、最近、ヤデン派が力を増してきていて、治安が悪化していると聞いています」
「その通りだ。で、宇宙連邦はそれに対してどのような姿勢を取っているか知っているかね」
「いえ、それまではわかりません」
「うむ。ま、いいだろう。ところで、君たちケネス星人は、多言語に通じているが、君はネメス語は話せるのか?」
「はい、日常会話はある程度はこなせます」
「うん、それを聞いて安心した。本部はこの作戦に君を指名してきた。さて、今回の君たちの任務だが、このネメス星の反体制派の中心人物、ヤデンの救出作戦だ。これは極秘任務だ。他言は無用だ」
「了解です」
「了解です」
ネドの顔が緊張にひきつった。
「最近、宇宙連邦のある幹部の方に、ネメス星の反政府勢力から、ヤデン救出の依頼が来た。宇宙連邦としては公にはあくまで中立の立場なのだが、強硬な独裁政治を行っているネメスの現政府に対しては、宇宙連邦の上層部は良く思っていない。近いうちにヤデンが逮捕されるという情報があるとのことだ。今、ヤデンはある所に身を隠している。宇宙連邦は非公式に、この依頼を受諾し、協力することに決定した。そして、宇宙連邦から、わが宇宙連邦軍に依頼が来て、ネメス星近くを航行中の艦の中で、わがテラに任務が与えられたというわけだ。これは昨夜のことだ。このテラは、既にネメス星近くの宇宙連邦軍第9宇宙ステーションに進路を取っている。細かい計画は副長から説明する。頑張ってくれ。確実にやり遂げてくれ」
「了解しました」
「了解しました」
直立不動で、二人は敬礼しながら同時に応えた。
キャプテンが部屋を出て行ったあと、少しして副長が入室してきた。
副長バランから救出作戦の内容が明かされた。
直立不動のまま、ミランと僕は、副長の言葉を聞き漏らすまいと、必死になった。
「まもなく、このテラは、宇宙連邦軍第9宇宙ステーションへ寄港する。そこで、ネメスの反政府勢力の人間が、この救出作戦に必要な情報、および君たちが この計画で使う偽造した入星出星カード、衣服、持ち物、通貨等を届けてくれることになっている。