ネドは懐からベシラの入った布袋をテーブルの上に置いた。
トン、トン、トン
店の主人は布袋をザザーとひっくり返して、数を数え調べていたが、やがて、背の高い男に耳打ちすると、背の高い男は、別の男を伴って戻ってきた。
そして、素早くネドの後ろに回ると、ネドの腕をねじまげ、首に男の腕を回して、ネドを羽交い絞めにした。
「な、何をする!」
「ネド!」
タリは動こうとしたが、縛られた腕をがっちりと別の男に抑えられ、もがくこともできない。
ネドは背の高い男を振りほどこうとしたが、男はものすごい力で抑え込んでいる。とても振りほどくことはできない(星人としての力の違いか)。
「静かにしろ!」
ドスの聞いた声が響いた。背の低い男、店の主人である。男はスッと立つと壁脇の棚にあったムチを手に取った。
ネドに目線を向けるとムチを振り上げた。
ヒュッ
ネドの脇にムチがしなって
バシ
床に当たった。
ネドは戦意を失った。
ネドはすぐに縛られ、タリとともに市場へ連れていかれた。
広場には台を囲んで五十人ほどの人だかりができている。
台の上に、縛られた半裸の男が乗せられていて、脇に立った別の男が、人だかりに向かって声を張り上げている。
声を上げている台の上の男は、ネド達が台に近づくと、
「遅かったな」
と背の低い男に声をかけた。
「いろいろとあってな」
「ものは二人か」
「そうだ、増えたのさ」
「ちょっと待ってな」
「さて、250ベシラ、250ベシラで終わりかい?他はいないか?・・いないな。では、250ベシラ、そこのおひとで決まりだ」
台の上の奴隷の行き先が決まった。
「さあ、女を台に挙げろ。さてさて、みなさん。お待ちかねの、女奴隷だよ。美人で、若い。上物だ。体も丈夫だ。今夜から十分に楽しめるぜ。・・さっさと上がれ!」
タリはきっとした顔をして、ちょっと抵抗したが、すぐに台の上にあげられてしまった。
セリが始まる。