キャプテン、キースは体をひねって、左脇の士官に、
「ネドをここに転送してくれ」
と指示した。
「了解」
ギガのコントロールルームの後方に、光の渦が出現した。
「ガンマ星宇宙域に入りました」
「わかった」
正面スクリーンの右奥に、小さく青く光る球体が見えた。
「進路を、ガンマ星に向けてくれ」
「了解」
途端にネドの声がコントロールルームに響いた。
「だめだ!、・・・・すいません」
ガンマ星に行ってしまえば、小型船では、明日のネメスの宇宙ステーションでの待ち合わせには、間に合わなくなってしまう。ネドの口から、思わず言葉が出てしまった。が、しかし恥ずかしい。
「ネド、ここへ来てくれ」
キャプテン、キースは振り返って、ネドに声をかけて自分の隣の補助イスを出した。
「ハボスがこれから何をするのか、一緒に見よう」
ネドはキャプテン、キースの隣の補助イスに近づいた。
小型船が進路を右のガンマ星に向けたのが分かったからだろう、ビーム攻撃は止んだようだ。
が、この直後、コントロールルーム後方の通信士官のあげた声が、ギガのコントロールルームの空気を凍らせた。
「キャプテン、ハボス船が、仲間を呼んでいるようです」
「キャプテン、ガンマ星の衛星の影に、中型船がいます。・・ハボス船です」
「わかった」
キャプテン、キースは右脇のパネルを触った。
「サライ最高司令官、お手伝いいただけますか?」
キースの声に、
「わかった、キャプテン、キース。何隻かそちらに行かせる」
サライ最高司令官の落ち着いた声が、ギガのコントロールルームに響いた。
「ありがとうございます」
キャプテン、キースはほっとすると、今度は後方右のシリス副長に振り返って言った。
「シリス、小型船の船外カメラを捜査して、これから起こる全てを記録してくれないか」