「私もその研究に携わっていましたので、間違いありません。中心となった精神科医は、あのケネス移民船で起こった大悲劇の時、その船に乗っていました」
「え、む。ま、ドクター、ネプス、掛けて話さないか?」
同じ部屋にいる、ドクター、マシアスも、秘書官、補佐官も、耳をそばだてている。
「えっと、ドクター、マシアス。悪いが、緊急通信の感度を上げて、僕らの会話をそのまま通信に流してくれないか?」
「わかりました」
「さて、ネプス、続けて」
「あの機械を作ったのは、ドクター、ハドルという人物です。あの移民船に機械を乗せていたのは確かです。移民船の中でも、研究をすると言っていましたから」
「うむ」
「彼は、もしかしたら、僕の推理が正しければ、あの悲劇を起こした首謀者だと思います。あの事件は、生き残った者が、赤ん坊で保育器の中にいたネドだけだったのと、そして見つかった時、船は多大な損傷をしていて、記録も見つからず、また宇宙空間に飛ばされてしまった遺体も多かったことから、結局、謎が多く、首謀者を特定することはできませんでしたが」
「うむ」
「彼は、精神を病んでいたことは確かです。僕はそばで彼が研究をしているのを見ていたのですから」
「うむ」
「でも、安全装置が・・」
「そうです、補佐官。安全装置があります」
「お、お話し中、失礼しました。最高司令官」
「いや、続けてくれ」
「通常、特殊な機械を作るときには、動かせる人間を特定するように安全装置をつけます。あの機械にも付けていましたが、僕も含めて複数の人間が研究に参加していたため、ケネス星人であれば作動するようにしていました。ケネス星人であれば害はありませんからね」
「なるほど」
「ハボスは」
「そうです。そこです。秘書官」
「失礼しました」
「いや、いい。続けて」
「僕は、彼はある程度、あの移民船が今のケネス星に近づいてから、あの事件を起こしたのだと思います。つまり、ハボス星の近くで。そして事件を起こした後、小型船でハボス星に降りたのではないかと思います」
「ああ、なるほど。だから、今、機械を動かしている人物は、ハボス星人にしては、小さく、色も白いのか」