遅くなったか。
食事を載せたトレイを手に立っていると、
「ネド少尉、ネド少尉、ここです!」
一年後輩のわが友、ミランの声だ。ゼルダ星人特有の紫色の髪をサラサラ揺らしながら、にっこりしながら、僕に手を振っている。
そして自分の前の席を手で示した。
「おはよう、ミラン。ありがと。助かったよ」
「いいえ。いよいよご帰還ですね」
「ああ」
「感動ものですよ」
「そうかな」
「だって、2年ぶりでしょう。ゼルダ星に帰った時の僕は、目が熱くなりましたよ」
「そうか。でも、僕はクールなほうだからどうかな」
ミランが目をくるりとさせた。
食事を終えると、高速エレベーターで最上階5階のコントロールルームに上がった。
扉があくと同時に正面の大窓を通して、青い海に白い雲を纏った、わが星ケネスが大きく丸く迫っていた。そして、その手前に、銀色の風車型のケネス宇宙ステーションが羽を広げて浮かんでいた。
ネドが席に着くと、まもなくコントロールルームとケネス宇宙ステーションとの着船のやり取りが始まった。そして、テラはゆっくりと風車の羽の一つに着艦した。
コントロールルームの中央の、一段高いところに置かれたイスに、威厳のある態度で座っていたこのテラの指揮官、ファウル大佐は、着船が完了したのを確認すると、右脇のパネルを触って正面の船内スクリーンをオンにした。
自分を船内スクリーンに映し出し、全乗員に下船の許可を出した。
一斉に、乗員が席を立っていく。
ネドも席を立って、高速エレベーターで自室に戻ると、用意してあった荷物を取ってすぐに廊下へ出た。
出ると扉の脇に既にミランが立っていた。
おお
「早いな、ミラン」
「非常階段ですよ。待つのは嫌ですからね」
「気が短いねえ」
「いえいえ、時間を有効に使いたいだけですよ」
二人、非常階段で一階に降りて、宇宙ステーションとの接続口に行くと、青い制服の一団がもう列になっている。
おっと。