ここで教育プログラムの、恋愛と性についての部分を抜粋しよう。
恋愛による別れは、悲しみ、苦しみをもたらすが、別れなければならないなら、最大の解決法は、物理的に相手と遇わない環境を作ることだと教えていた。そして、やがて時が平穏をもたらすと教えていた。
朝、起きるとネドは、待ち合わせの時刻よりかなり早く、ネメスの宇宙ステーション脇に停泊したギガから、小型船でネメスの宇宙ステーションへ向け飛び立った。
今回ギガは透明スクリーンを切って第9宇宙ステーションへ一旦寄港し、そして、ネメスの商業ルートに乗ってここまで来ていた。
ケネスの小型船の、ネメス宇宙ステーションとの着船予定については、ギガのコントロールルームから、ネメス宇宙ステーションへ連絡を取っていた。
キャプテン、キースは、僕が帰る時も宇宙連邦軍第9宇宙ステーションまで、送っていってくれると言っていた。
ネメス宇宙ステーションの決められた位置に小型船を着船させて、宇宙ステーション内に入ると、ステーション内は、前よりずっと人が増えてにぎわっていた。
レストランの予約は、前もってしておいた。
前はとても、お店を見る余裕はなかったが、今回は、サリトとの待ち合わせ時刻まで、かなり時間がある。ゆっくり見れる。
サリトが喜びそうなものがあれば、何か買おう。
ネドは、喜ばせたい人がいて、そして自分が、間も無くその人に会えることになっていて、そして自分がその人にあげる物を選んでいる・・そのことが、とても嬉しく思えたのだった。
サリトへのプレゼントを抱えて、レストランに早めに入ると、良かった。眺めは抜群である。
先に席について、チラチラ、レストランの入り口を見ながら、窓から見える外の宇宙を堪能した。暗い宇宙空間に近隣の星がくっきりと輝いて見えていて、目線を下げると白い雲の間から、青いネメス星が、信じられないくらいの美しさで見えている。
ふっと目線をレストランの入り口に向けると、来た!サリトが来た。
サリトはネドに気が付くと、満面の笑顔をネドに向けた。
美しい、と僕(ネド)は思った。
第8章 (ハボス星との会議)
時は過ぎて翌月、ハボス星との会議の日が迫っていた。
会場となるのは宇宙連邦軍宇宙艦、わがテラである。
さて、この交渉の件をハボス星が持ち出してきたとき、その少し前に、ハボス星で大変なものが発見されていたのである。
ハボス星のある郊外の村で、不思議な機械が発見された。
ハボス星は、もともと軍の力が非常に強い星だが、この村に呪術を操るものがいるとのうわさを軍の関係者が聞きつけて、この村に軍の調査が入ったのだ。