この近くにワームホールがある。そのワームホールはギーア星の近くに通じている。
勿論、これはケネスの情報であって、宇宙連邦軍はワームホールの存在さえ知らない。
我々の姿を見つけて、ギーア星人はすぐに銃を撃ってきた。
シュッ
シュッ
シュッ
「応戦しろ!」
相手は5名のようである。
まずい、不利だ。
ギーア星人たちが包囲網を縮めて近づいてくる。
植物学者が、近づいてくるギーア星人の姿をみてキャーと悲鳴を上げた。
ネドは銃を撃ちながら、植物学者に近づこうとした。
その時、ギーア星人の強力な銃が、ネドの後ろの木に当たった。
跳ね飛ばされた木が回転しながら倒れ、ネドの上に落ちた。
ビュ バン
ネドに、自動的にケネスの防護シールドが張られたが、どのぐらいの強さまで張ることができたのだろう。
これは、ネドが他星人にムチで打たれるという出来事があったため、ネドには危険に対して自動で防護シールドが張られるようにシステムが組まれたのだった。
ギーア船の動きを知ったケネス宇宙艦ギガは、既に透明シールドで隠したカメラをネドの上陸チームの上に飛ばして、警戒していた。
ギガのコントロールルームでキャプテン、キースは、ドクター、と叫ぼうとしたが、ドクター、マシアスの動き見て、止めて、すぐに状況を乗員に確認させた。
「シールドはどこまであがったんだ」
「Bです」
検討の余地があるな。
シールドは、あまり近づくと、近づいたものを押し戻してしまう為、事情が分かっていない人たちの中では、前もって張れない場合がある。今回は事前に張れなかったのである。
弱いシールドに守られたとはいえ、ネドは頭と背中を木に打たれて、気を失った。
ネドが倒れた事に気が付いた上陸班の部下達は、茫然とした。
すぐにギーア星人に銃を突き付けられ、銃を地面に落とし、両手を上げた。
ギーア星人たちは、銃の先端を振って、身振りで部下と学者たちを誘導し、自船に連れ帰った。
ギーア船はすぐに離陸し、ワームホールへ向かった。
今回のネドの当番船であるギガの中は、戦闘態勢コードAとなった。
コードAでは、ギガの通信は、ケネス宇宙軍本部のコントロールルームはもとより、他の全てのケネス宇宙軍の宇宙艦のコントロールルームにそのまま流される。