ケネスほど平和を大事にしている星は無いが、ケネス星人は、平和を維持することと危険に対して無防備でいることとは意味が違うと考えているのである。
第3章(リーダー研修)
ネドは、宇宙連邦軍の上級士官候補の最終研修である、リーダー研修なるものを受けることになった。これは宇宙アカデミーの幹部養成コースを卒業して入隊した乗員全てに行われるものだ。幹部候補としての最終試験のようなものである。
宇宙連邦軍では、所有権の決定されていない(最初に宇宙連邦軍が地上に降り立てば宇宙連邦の所有とされる)辺境の無人の惑星や衛星の調査も大きな任務の一つであった。鉱物学者、時には生物学者や植物学者を引き連れて、実際に衛星、惑星に降りて調査を行うのである。最終研修はこの惑星調査の責任者になることだ。
研修を終えた乗員の話が伝わってきて、ネドは前日から緊張で、食事があまりとれず、前夜はよく眠れない有様であった。
この調査予定の惑星Xは、前年大掛かりな調査が行われており、所有権は確定済み、そして今回は再調査ということもあり、任務自体は難しいものでは無いように思われた。
ネドは鉱物学者一名、植物学者一名、それにテラの警備、安全管理部門の乗員ニ名を連れて、小型船に乗り込んだ。
この小型船が惑星Xの大気圏に突入するのを確認してから、宇宙連邦軍宇宙艦テラは近くの別の惑星へ調査のため、分かれて向かって行った。
大気圏降下の摩擦熱から解放された後、地上近くを水平に目標地点まで飛行する。ネドが小型船を操縦しながら、正面の窓から下を見ると、太陽に照らされて、海は真っ青、波がキラキラ金色に光っていた。陸地は、熱帯雨林のような濃い緑に覆われ、いかにも暑そうである。調査地点は、この熱帯雨林の中である。
前回の調査地点より今回の調査は、西寄りの地点の調査である。前回の着陸ポイントを目印に、西側で降りれそうなところを探す。
今回のメンバーの発表をみて、親友のミランは、操縦できるものがネド少尉だけであるのに驚いていた。
ケネス星人に使われるのは、地球人は好まないのだろう。通常の任務の乗員は、ネドとの乗船を断ったのだろう。安全部門に役が振られたか。この事態をネドは気にしていなかった。
目標地点付近を旋回しながら、着陸地点を探していると、平らな草地が見つかり、ネドはそこに降りることに決めた。
メンバーに着陸する旨告げて、安全体制を取らせて、ネドはゆっくりと着地させた。調査地点脇へ着陸した旨、テラのコントロールルームへ連絡し、外に出ると、やはり暑い。蒸し暑い。