「武器を捨てろ」
「武器を捨てろ」
ケネスの救出部隊がギーア語で声を上げる。
ギーア船の船長が手元のボードを触ってギーア星宇宙基地に警報を送ろうとした。
「船長」
シリス副長が、キャプテンらしい人物に向かって、冷静な声で話しかけた。
「警報を送ろうとしても無駄だ。この船のシステムはもう、我々の制御下にある。この船は、今、我々ケネス宇宙軍に制圧された。無駄な抵抗は止めてもらおう」
部下たちが、ギーア人たちが放った武器を足で、手が届かない位置に蹴り飛ばした。
「我々は君たちと違って、君たちを捕虜にするつもりはない。捕らわれたものを返してもらいたいだけだ。おとなしくしてもらおう」
これで、この宇宙域には、ギーア星人より科学技術が上の存在がいるという、ギーア星人に対する、いい意味の圧力になる。
今、コントロールルーム内は無音である。副長シリスの声だけが響いている。
すでに全てのシステムをケネス宇宙軍が制御下に置いたために、通信システムも切られ、船外はもとより船内の通信すらも入ってこない。
シリス副長の左前腕が震えた。
「はい、シリスです」
「サライだ。今、」
突然、ギーア人の一人が、落とした武器を拾ってシリスに向かって銃を発射しようとした。
ネドの銃口が光った。
シュッ
他のギーア星人も銃を拾おうとしたが、周りのケネスの救出部隊の反応は早かった。
一斉にギーア星人の手を狙って撃ち、銃を取らせなかった。
シュッ シュッ
「動くな!」
コントロールルームにいるギーア星人の数人がケネスの銃に撃たれて、しびれて床に転がった。
「シリス!」
「シリス副長!」
「シリス、大丈夫か」
「副長、大丈夫か」
二人の声に、シリスは落ち着いた声で応えた。
「大丈夫です。サライ最高司令官、キャプテン、キース。・・今、コントロールルームを制圧しました」